このページでは、特別養護老人ホーム(特養)の入所対象者について説明をしていきます。
特養に入所を申し込む場合は、特養に入所申込みをしていただくこととなります。
※介護保険制度が始まる前は、市町村に入所申込みをして市町村が「措置入所」することとされていましたが、平成12年度に始まった介護保険制度では「契約入所」となり、それぞれの特養に入所申込みをする制度に変わりました。
特養の入所対象者は、原則として要介護3以上の方
新聞やニュースなどで、この言葉をなんとなく聞いたことがあるという方もいると思います。
かつて、特養の入所対象者は要介護1以上だったのですが、平成27年度に特養の入所条件が厳格化され、原則として要介護3以上となりました。
「要介護2以下の人は入所できないのか」といった疑問が出てくるかと思いますが、上に書いたとおり「原則として」というところがミソで、要介護2以下の人でも入所できるのです。
ただ、認知症がみられたり身体障害等があったりするなど、特養入所が必要な人に限ります(これを特例入所といいます)。特例入所に該当するかどうかは、市町村が判断します。
特養は、入所の必要性が高い人から入所させなければならない。
言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、特養は待機者のうち、入所の必要性が高い人から入所させないといけないことが、運営基準で定められています。
では、どうやって必要性が高い人を選んでいるかのかと言うと、それぞれの待機者に対して点数をつけて必要性の判断をしています。
待機者の要介護度や現在の世帯状況(在宅生活か施設入所か)・在宅生活であれば家族と同居しているか・在宅で介護サービスを受けているのであれば、どのくらいサービスを受けているかなどの項目ごとに加点し、特養に空きが出れば点数の高い順に入所を案内することになります。
以上のことを説明すると
要介護2の人が特養に入所申込み
↓
特養が市町村に対し、特例入所に該当するか意見を求める
↓
特例入所該当であれば、待機者に点数をつける
↓
点数の高い待機者の順から、名簿を作成する
↓
特養に空きが出れば、点数の高い待機者から順番に入所の案内をする
といった流れになります。
このうち、待機者に対する点数づけなのですが、「入所の必要性が高い人から入所させなければならない」という趣旨から、要介護度の高い人のほうが点数が高くなる傾向にあります。逆に言うと、要介護2以下の人はどうしても順位が低くなりがちです。
また、名簿の作成は定期的に更新されるので、あとから要介護度の高い人が入所申込みを行えば、その人に順位を抜かされることもあるのです。
したがって、要介護度の低い人は、順位が上がってこないので入所待ちの期間が長くなる傾向にあります。
要介護2以下の人は、特養に入れないのか?
「じゃあ、要介護2以下の人は、特養に入れないじゃないか!」と思う人もいるかもしれません。
ですが、比較的短期間で特養に入所できる方法が2つあります。
ひとつは待機者が少ない特養に申し込むという方法です。
特養にいくつか見学に行くなどして、候補を絞ったら、各特養に
「待機者は何人いますか」と尋ねてみましょう。
ほとんどの特養が答えてくれると思います。
待機者の少ない特養が、ケアの質が悪い特養というわけではありません。
これはあくまで私の主観ですが、申込みをする家族は、どうしても新しい特養を選びがちなので、運営が長い特養の待機者が少ない傾向にあります。
運営が長いということは、特養としてのノウハウを持ち合わせているということにもなります。そういった特養のほうが、大切な家族を安心して預けられるという考え方もできるのです。
もうひとつは複数の特養に申し込むという方法です。言い方が悪いかもしれませんが「数打ちゃ当たる」の考えです。
「特養への申し込みは、1施設でないといけない」わけではありません。また、申し込んだ施設数に制限がかけられているわけでもありません。
なので、複数の特養に申し込んで、入所案内を待つという方法もあり得ます。
いかがでしたでしょうか?特養への入所申込みに関することを理解したうえで、特養入所を検討していただければと思います。