介護施設のなかで特別養護老人ホームの次によく耳にするのが、介護老人保健施設だと思います。
よく老健と略して言われる施設です。
ですが、介護老人保健施設の特徴など、どのような施設なのかわからない人も多いかと思いますので、ここでは介護老人保健施設のことについて特別養護老人ホームとの比較を中心に解説していきたいと思います。
介護老人保健施設の特徴
1 在宅復帰を目指す施設
特別養護老人ホームと比較して一番に違うのは、介護老人保健施設は在宅復帰を念頭においた介護施設という点です。
特別養護老人ホームは、原則として入所すると亡くなるまで入所できる施設ですが、介護老人保健施設は入所して原則3か月以内に退所し在宅復帰をする施設です。
ただ、これはあくまでも原則なので、3か月以上入所することも可能です。
というのも、介護老人保健施設ではそれぞれの入所者に対して3か月に1回在宅復帰が可能か判断しなければならず、そこで在宅復帰不可と判断されれば引き続き入所するということになるからです。
実際に数年間介護老人保健施設に入所しつづけている人もいます。なかには特別養護老人ホームへの入所待ちの人もいました。特別養護老人ホームの入所待ちであれば、在宅復帰は難しいと判断されるわけですね。
2 入所できるのは要介護1以上の要介護認定を受けている人
介護老人保健施設に入所できるのは、要介護認定で要介護1以上の認定を受けている人です。
特別養護老人ホームは原則として要介護3以上なので、比較的ゆるめですね。
特別養護老人ホームのように入所者ごとに点数づけをすることは介護老人保健施設では基本的にないので
先着順で入所申込みをした人から入所していきます。
ただし、施設独自で優先入所に関するルールを定めているかもしれませんので
申し込むまえに尋ねてみたほうがいいかもしれませんね。
介護老人保健施設のメリット・デメリット
1 医療的ケアが手厚い
介護老人保健施設は、特別養護老人ホームと比較して、医療的ケアに手厚いというメリットがあります。
まず、特別養護老人ホームと比較して、医師や看護職員が多く配置されています。
医師については、特別養護老人ホームの場合だと非常勤の嘱託医が配置されているのがほとんどであるのに対し、介護老人保健施設の場合は常勤の医師の配置が義務づけられています。
看護職員に関しては、特別養護老人ホームの場合だと入所定員に応じて定められているのに対し、介護老人保健施設の場合は看介護職員の総数の7分の2以上は看護職員でないとならないと規定されています。
入所定員50人の特別養護老人ホームと介護老人保健施設で比較すると、特別養護老人ホームは常勤2人以上に対し、介護老人保健施設施設だと常勤5人以上を配置しなければなりません。
また、介護老人保健施設は医療法人が運営しているところがほとんどで、病院との併設が多いです。
なので、入所者の容体が急変した際などは、併設の病院で治療が受けられますので、そういった点も家族にとっては安心できるかと思います。
2 リハビリが手厚い
次に挙げられるメリットとして、介護老人保健施設は特別養護老人ホームと比較して、リハビリが手厚いというメリットがあります。
リハビリについて言うと、特別養護老人ホームは入所者の身体機能をなるべく維持していくことを目的なのに対し、介護老人保健施設は身体機能を上げて在宅復帰を目指すことが目的とされています。
特別養護老人ホームにも機能訓練指導員というリハビリ担当の職員がいますが、直接入所者に対してリハビリをすることはあまりありません。それに対して、介護老人保健施設は理学療法士などのリハビリの専門職がより多く配置されていて、理学療法士が直接入所者のリハビリをしていきます。
3 利用料が少々高め…
入所者の家族からみて、デメリットをあげるとすれば、利用料が少し高めの傾向にあります。
理由としては、リハビリや在宅復帰などの介護報酬があり、それが加算されていくからです。
4 相部屋の割合が高い…
もうひとつデメリットをあげるとすれば、介護老人保健施設の部屋は相部屋が多いことです。
特別養護老人ホームの場合、全室個室のユニット型施設と言われる施設が多いのに対し、介護老人保健施設はユニット型施設はほとんどありません。
以前私が勤めていた地方自治体では、特別養護老人ホームの約半数がユニット型施設であったのに対し、介護老人保健施設は全体の1割程度でした。
いかがでしたでしょうか。介護老人保健施設は、在宅生活が難しい人にとって最初に入所を考える介護施設だと思います。介護老人保健施設を利用して、在宅生活をできるだけ長く続けていきたいですね。